最後の食事
2012年12月4日胃ろうになった。
以下は最後の10日間に食べた食事だ。
11月23日 寿司、カキフライ
11月24日 ヨーグルト、鮭フレークご飯、ポテトサラダ、ホタテ刺身、ほうれん草
11月25日 ヨーグルト、ご飯、焼き鳥、ほうれん草 、りんご、煮豆
11月26日 ヨーグルト、ケーキ、ご飯、ぶりの照り焼き、煮豆、ほうれん草
デイ(おかゆ、オムレツ、けんちん汁、みかん)
11月27日 ヨーグルト、ご飯、水餃子、椎茸の煮物、煮豆
11月28日 ご飯、水餃子、椎茸の煮物、煮豆
11月29日 鮭フレークご飯、茶碗蒸し、豚の角煮
デイ(おかゆ、卵とじ、チンゲン菜のおひたし、りんご)、
11月30日 ご飯、豚の角煮、茶碗蒸し、納豆
デイ(おかゆ、茄子の味噌炒め、酢の物)
12月1日 ヨーグルト、ご飯、ぶたしゃぶ、バナナ、プリン
12月2日 ヨーグルト、ご飯、ぶたしゃぶ
気管切開しているのかと思うぐらい自由に食べたと思う。
2012年11月3日は母の家で彼女と一緒に鍋パーティーを行った。
12月1日、2日はベッドサイドに土鍋を準備し、鍋パーティーで残った豚肉を使いしゃぶしゃぶにして食べた。
体も部屋も温まって幸せだった。今も印象に残っている。
この後、誤嚥を起こして重度の肺炎を発症し入院した。
これ以降胃ろうになった。
今もご飯を食べたい。今は叶わない夢だ。
どうすればご飯を食べることができたのか???思い起こしてみた。
姿勢と嚥下力
在宅生活を再開する前、病院で入院生活を送っていた。
病院に入院中、食事介助は言語聴覚士の指導のもと必ず看護師が行なった。
口から食べるとき、とくに気をつけなければならないのは誤えんだ。食べものが気管を通じて肺に入ると、重篤な肺炎を起こしてしまう。
まず大切なのは、アゴが上がりすぎないようにすること。アゴが上がると喉頭と気管が一直線になり、誤えん起こしてしまう。食べるときのベッドのギャッチアップ、車椅子のチルト角度など背中の角度にも注意する。
その甲斐あって、私の嚥下力は軟菜食までアップした。
自分自身、安全に食べる姿勢が身につき、口から食べることに自信がついた。
2011年11月から6ヶ月間、在宅生活に向けて4泊5日の試験外泊を繰り返した。
その間発熱や肺炎を起こし何度か救急車を呼んだこともあった。
入院中も発熱があったし、こうして生きていくのだと思っていた。
甘い自分
2012年6月、在宅生活が再開した。
恐る恐る口から食べていたご飯も時間が経つにつれて、
あのメニューが食べれたから、このメニューも食べれるんじゃないか???
ベッド上での食事の時、アゴの位置や背もたれの角度を調整した。
姿勢が少し違う気がする???でも、大丈夫だろう。
食事のメニューも姿勢も自分に甘くなった。規律を守れなかった。
そして、2012年12月完全に胃ろうになった
プロフェッショナル仕事の流儀
2016年5月、えん下障害を持つ人たちの食べる力を回復させる看護師のテレビ番組を見た。
番組ではひじを固定するだけで、首がまっすぐになり姿勢が保たれることを知った。
ひじを固定すれば、誤嚥のリスクが低くなる事を知らなかった。
食べることの大切さ、食事介助に取り込む看護師の気持ちを改めて知った。
たられば
この番組を2011年に見ていれば、
ひじのことにも注意を払えば、
今もご飯を食べていたかもしれない。
訪問看護サービスを利用して看護師の介助を受けていれば、
自分自身もっと規律を守っていれば、
今もご飯を食べていたかもしれない。
そんなふうに思うことがある。
口から食べること
今は胃ろうからミキサー食を楽しんでいる。在宅生活ならではだ。
しかし、どれだけ調理を楽しみ香りを楽しんでも、友人や恋人、家族と同じ時間、同じ場所で同じ気持ちを共有することができない。
口から食べる幸せの代わりはないのだ。
後悔しても時間を巻き戻すことはできないのだ。
メニューや時間、回数に制限があっても口から食事を食べている人は、今の自分を大事にしてほしい。
栄養摂取の方法はいくらでもある。しかし、
口から食べる幸せの代わりはないのだ。
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